ゆ・ら・ら くるりん
ひと ライフスタイル グッズ
旅の途中 ビジュアル ブック  BACK   TOP 

私の出会った本たちです…

幼い頃…本はとても魅力的な存在でした
誰にも邪魔されずにひとりでどこまでも探検できたからです


小学校の頃…学校の図書館は宝石箱のようで毎日毎日通ったものです
まだ見たこともないあこがれの外国の子供たちとも出会えました

思春期の頃…自分の問に答えてくれる本を求めて彷徨っていました
この頃読んだ本は忘れられないものです

本の世界は自分が体験できないいろいろな世界との出会いがあります
よくつかめずに居る自分の姿をみつめる機会も与えてくれます

私の出会った本を紹介していきます

その1


最初の本はこれにしました
まずは読み終えたばかりのこの本

天童荒太作「あふれた愛」

このひとの本は初めてです
「永遠の仔」という本が有名な作家
でも読んでいませんでした

いろいろな事情で心に傷を負った人の四編の物語
心が痛くなります
でもどれも最後のシーンで淡い希望が見えています
だから救われます

大した傷も負わずにいる私には
見えないものが沢山あるのかも知れないと思う


(06.8.22記)





今度はタイムカプセルに乗って遠い昔に戻ってみます
幼い頃出会った本は、
どれもなんどもなんども読み返したから
ぼろぼろになりました

「幼い私を夢中にさせた本たち」

覚えている一番古い本は…「浦島太郎」の絵本
それは飛び出す絵本でした
竜宮城に着いた浦島太郎の夢模様
「次のページは飛び出すシーンだ」…と
毎回どきどきでページをめくった幼稚園の頃の私です

小学校低学年の頃よく読んだのは…偉人伝

エジソンや野口英世等々
なかでもキュリー婦人に憧れました
女性なのに世の中にはこんなにすごい人がいると
胸をわくわくさせました


小学校5,6年の頃虜になったのは…「メリーポピンズ」
今まで見たことのないお洒落な世界でした
読むだけで音楽が耳に聴こえてきました
チム・チム・チェリーって…


(06.8.23記)




夏なのに…冬の話です

この本を思うと、胸がきゅんとなります

ポール ギャリコ作「雪のひとひら」(矢川澄子訳)


ひとひらの雪が、結晶となって空から地上に舞い降り、
まるでひとりの女性の一生のように
出会いや別れを経験します
家族もできるんです
愛する夫や子供たち
ささやかな幸せな時間も過ごします



でも最後に…溶けてその姿は水になり、
川から海へ出ていく彼女の姿がとても切ない


いつまでも大切にしたい本…矢川さんの訳も素晴らしいです

(06.8.24記)





はじめて自分ひとりで選んで買った本です
どきどきしながら買った覚えがあります

エリザベス・グージ作「まぼろしの白馬」(石井桃子訳)

それは…夢のような遠い異国の物語でした
小学校の6年くらいだったかな?
なんどもなんども夢中になって読み、その世界は今でも魅力的

古い領主館にひきとられた孤児の少女マリアが主人公
彼女は館にまつわる伝説に興味をいだき,その謎を解こうとします
活発で明るいマリアは、森の館の静かな生活を一変させ
周囲の偏屈なおとなたちの心を溶かしていきます…

登場人物が皆魅力的
ゼラニュームの花、ヘリオトロープ色がキーワードだったかな?

この本は、ある時手違いで手許からなくなり
捜して捜して、結局国立国会図書館から借りてコピーを全頁とりました
またゆっくり…読んでみたい本…本当に素敵です!

(06.8.25記)





学生時代、最も苦手だったのが読書感想文
書かされているから、模範的的なちっとも面白くない文になっていたっけ…

そんな中でも印象に残っている本を2冊

中学のある年の読書感想文で書いたもの

倉田百三作「出家とその弟子」

何事も超越しているかと思われた親鸞やその息子、弟子に人間的な葛藤があった
その苦しむ姿に、意外な感じを受け、身近に感じた作品
僧侶も同じ人間なのだと…そう思ったことをよく覚えている

もう1冊は高校時代に書いたもの

大江健三郎作「芽むしり仔撃ち」

感化院の少年たちがある山村に取り残されて起きる事件
暗くショッキングな描写もあるが、何故だか瑞々しさを感じたのは何故だろう
今でもまだ目に浮かんでくる場面がいくつかある作品

多感な時期に影響を受けた作家でもある

もう一度読んだらきっと違うものを感じるんだろうな

(06.8.27記)





本を買うのに躊躇した作家が居た…彼女の作品を読んだことがないのに
ついていけないのでは?と敬遠してた
でもね…初めて読んだ「ラバーズオンリー」
ちっとも嫌じゃなかった
何故だか哀しみと同時に清々しさがあった

久々に読んだ彼女の作品

山田詠美作「風味絶佳」

すごくいい…文章がこなれてなんともいえずにいい
人の味わい…悲しくておかしくて切なくて…愛らしい

そんな味わいある話がいっぱい

なんとも深みのある…心に残る作品

(06.8.28記)







街中に一風変わった本屋さんがありました
本と雑貨があちこちに混在して置かれてるんです

おもちゃ箱のようなその場所に最初は戸惑った私です
でも次第に居心地がいい場所に…

普通の本屋さんにはない、しかも私が興味津々になる本が沢山でした

そこで見つけた不思議な物語です
恩田 陸作「光の帝国」

いろんな時代の物語がいくつか続きます
不思議な力を持った常野の国のひとたち
皆悲しい運命を背負っています
最後の物語で、ある人物が蘇っているのを知ります
そこで私は「ああ…ここに居たの?」って声までかけてしまいました
恩田陸…彼女のファンタジーは悲しいほど素晴らしいです

(06.8.30記)




今朝出勤途中の車の中で「斜陽」という曲が流れていました
あの太宰治の小説と同じ名前…スガシカオの曲でした

高校生の時、周りは太宰の小説を読む人が多かったのに
私はなんだか拒否していました
だって…なんだか女々しい人のように思えたから…
気取りやさんで格好つけでしかも心中未遂を何回も…弱い人


だから同じデカダンで無頼派の坂口安吾を好んでいた私です

でも…大人になって教えて貰った一冊の本
これで彼への評価が変わりました


太宰治作「女生徒」

とにかく文章が悔しいほど上手いのです
男性なのに女性の心理を見事に描写していて心憎いです
短編だけれど光るものがあって心に残る作品


やはり彼はすごい作家だったようですね

(06.9.1記)



東京に出張したとき、書店で見つけた彼女の本は
「センセイの鞄」というなんだか少し昔の匂いのする小説

その後…これいいよという知り合いの薦めで読んだ本


川上弘美作「古道具 中野商店」

私はこの方が好きだな…

登場人物が皆不器用に生きてるんです
甘すぎない人と人とのつながりがいい

じれったい淡い恋の行方にはらはらさせられ
いろいろな人の思いが交差して切ない


切なくて、懐かしくて
暖かくなる本です


(06.9.8)


彼女の作品は、随分前にはよく読んでいました

彼女の描く現実感の薄い繊細な世界が好きだったから…
そう…でも最近は離れていました


それが最北限の島…北海道の礼文島の宿で彼女の作品に再会
映画にもなったこの作品

台風で宿に缶詰になり、時間を持て余した時
宿の書棚からなんとなく選んだ本がこれでした

無機質な数学の数式にこれまで引き込まれるとは!
哀しくて暖かくて不思議な後味の作品でした

彼女の新境地に脱帽です!

(07.9.8)








野に咲く花が好き

華やかな花は気後れします

ましてや、作られた花など興味はありませんでした

「これいいよ、とっても」と花繭の本を薦めれました

「繭から生まれた花」

蚕が紡いで作った繭…屑繭と呼ばれる捨てられていたものを使った花

ほのかに黄みがかった優しい花

器と背景がなんとも言えず素敵で、まんまと虜になってしまいました
心がきゅんとして、清清しい写真集です

温かくて、きりっとしていて、お洒落な花たち

あなたも出会ってみてください
(09.1)