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500年の歴史に触れる…国の重要無形民俗文化財「黒川能」を観る(黒川能の詳しい内容はこちら

他の画像はこちらのスライドショーでごらんください


土蜘蛛・侍女の胡蝶 土蜘蛛・土蜘蛛の精の退治シーン 大瓶猩々・酒の精猩々


黒川能とは
 
森敦の小説の舞台ともなった霊峰月山の麓にある黒川地区
 黒川能は、この黒川の鎮守、春日神社の神事能として、  すべて氏子たちにの手によって、500年ものあいだ、連綿と
 守り伝えられてきたもの
 黒川能は、世阿弥が大成した後の猿楽能の流れを汲み、その意味では現存の五流と同系ですが、いずれの流儀にも
 属さずに独自の伝承を続け、独特の形と、中央ではすでに滅びてしまった、古い演目や演式を数多く残している
 現在、春日神社の氏子は約240戸
 能役者は囃子方を含めて、子供から長老まで約160人
 能面230点、能装束400点、演目数は能540番、狂言50番と いうように、民俗芸能としては、たいへん大きな規模
 昭和51年には、国の重要無形民俗文化財に指定され、生活に根ざした貴重な民俗芸能として、全国から注目を
集めている

今回の上演詳細

 「黒川能大草公演」
   2007年11月4日(日) 於 島田市大草地区 「釣耕苑」 能舞台にて

    上演演目 能「土蜘蛛(つちぐも)」 狂言「附子(ぶす)」 能「大瓶猩々(たいへいしょじょう)」

私の雑感

黒川能についてはなんの知識もありませんでした
知り合いの方の情報で、個人のお宅のお庭にある能舞台で、歴史ある黒川能が観られるらしい…と聞き、
なんとなく惹かれるものがあって出かけたのです

釣耕苑は島田市郊外の山あいの大草地区にあり、明治初期に建てられた庄屋屋敷を移築したという立派な建物でした
その庭には、なんと能舞台があり、個人で所有されている事実に驚きました

民衆の中で伝え守られてきたというだけあって、飲食可能、酒を飲み歓談しながらの観劇スタイルでした
350人ほどの人が遠くからも集まり、それぞれ座布団や毛布を抱え、ロウソクが灯された小さな灯ろうの光を頼りに
暗い山道を会場に向かいます
能舞台の前にはゴザがひかれ、その上に座るもの、奥の屋敷の座敷に陣取るものいろいろでした

かがり火に照らし出された舞台は幻想的で、終演の際、挨拶のため面をはずした役者の方々の顔は、一様に素朴な村人の顔、顔、顔でした

今回の企画者の一人…能面の面打師の大塚さんの作られた面も素敵でした
大塚さんと今回の企画について書かれた情報はこちらです

撮影禁止ということで、上演前に建物だけの画像を撮った私は、駄目もとで聞いてみたところ…「ストロボ焚かなかったら
OK」と聞き、公演模様も撮影できました
多分私ひとりだったに違いありません
係の人の作業スペースに陣取り、背の低い私をかがり火用の薪の山に乗せてくれ、倒れないように係の方に腕で支えてもらいながらの撮影でした 本当にラッキーでした

幸運は更に続き、どうしたわけか、釣耕苑のオーナーに特別目をかけて頂き、寒いだろうからと毛布を持ってきてくださり、その上、燗をつけたお酒とおつまみまで運んでくださいました

なんだか狐につままれたような気分で、夢時間は過ぎていきました

出会いの神様が素敵なプレゼントをくれた?そんな一夜を過ごした私です

これが何かの始まり…そう思えてなりません