心のプリズム

戻る

水無月の四谷千枚田と仏たち


 私たちの住んでいる街からそう遠くない場所に素晴らしい棚田がある…と聞いて、
小雨の降る休日の朝、車を走らせました

 棚田の牧歌的な風景、日本の原点のような懐かしさ、その中に隠された悲哀のようなもの、
残すべき風景ともてはやされながら徐々に姿を消していくことへ何もできない無力感を感じながら…

それでもこの眼で確かめたかったからです

 場所は愛知県鳳来町四谷地区…浜松から引佐を抜けて257号線をひたすら鳳来に向けて走り、
途中から32号線を走ります

 途中紫陽花の花が咲き乱れた河原を見ながら、1時間と少し走った頃、
千枚田の看板が見えてくると、もうすぐです!
(06.6.18)

              

 村落の入り口にさしかかった頃

眼の前に棚田の全景が現れます

もう沢山のカメラマン達が先に撮影していました

私も車を停めてシャッターを切ります


出かけた時は雨が降っていたのに

不思議なことにその雨が小雨になってくれました

私を歓迎してくれているのでしょうか?

それとも私の強運のせい?

遠く山々には靄がかかり水墨画の世界のようです


あぜ道にもあちこちにカメラマンの姿…

この田植えの時期の棚田を

カメラに収めにきたのでしょうね










千枚田の一番上の方まで続く細い道を車を走らせると、眼下に棚田を見下ろす展望台のような場所にでます

この頃には雨もあがり薄日も射すようになってきました

私は、車を降りてあぜ道をどんどん下に向かって歩いていくことにしました

展望台らしき場所から下に伸びる棚田 あぜ道を下りながらそこに流れる水の綺麗さに驚きました
棚田の横手に広がる山の尾根 案の上田植えが済んだ田んぼが広がっていました


雨があがって、急な坂になったあぜ道を下っていくと

水を張った田んぼには沢山のおたまじゃくしにびっくり…農薬を使っていない証拠ですね

丁度田植えの作業をされていた地元の方の姿がありましたが

カメラ片手に観光気分の自分に少し申し訳ない気持ちになりました


ご夫婦らしき方が田植え作業をしていました あぜ道にはこんな花も咲き乱れていました
そこには蝶々も舞っていて…あったかくなる風景でした
整然と苗が植えられています 不思議な光景です…時間が止まってしまったような




私の好きなショットです

段々になった土地に合わせて

いろいろな形や大きさの田んぼが

作られています


小さな頃泥だらけで遊んだ

そんな…記憶が蘇ります

  




この画像は展望台から帰る途中

狭い道に車を停めてあわてて

撮ったものです

段々になった形状がよくわかります


このポイントは結構いいかも?


この棚田のある鳳来のHPによると…この地域のスローガンは

「幽玄なる石仏群と 美しき棚田の山里」

こうも書いてあった…

 「本地区には、様々な石仏が「仏坂ふりくさ道」沿いだけでも64体あり、これ以外にも数多く見られ石仏群の宝庫である

また、三十三身観音すべてがこの狭い一か所にそろっているのは、日本の中でもここだけである」

来る途中見過ごしたと思われる…この石仏群を見ようと車をゆっくりゆっくり走らせます

やっと見つかりました…ここも道筋でいつ車が来るかわかりません

車を停めてあせって石仏達をカメラに収めました

ごめんなさい…お参りもせずに…今度ゆっくり来ますので!

うっかり見過ごしてしまいそうなところにひっそりと… 災害で大きな被害を被ったというこの地域の方の
冥福を祈っているのでしょうか…




昔から石仏が好きで

九州の国東半島や

兵庫の北条の五百羅漢などを

見に行っていました

久々に石仏達と会えました

今回は慌ただしい出会いでしたが

次はじっくり相対したと思います



ここ四谷の棚田は400年以上前に開墾されたそうです

昔は1300枚ほどあった棚田も今や800枚に減ってしまったようです

全て石垣で作られた棚田は全国でもここだけなのだとか…

この風景を守っていくのはさぞかし大変かと思います

風景ではなく生活の場なのですから…

私は何もできませんが、四季によって変わっていく様子をまた覗きにきたいと思います