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あこがれの宿…送陽亭へ

屋久島に来て楽しみにしていたものは本当に沢山あったのだけど

その大きなもののひとつが、ずっと憧れていた宿
「送陽亭」に泊まること

屋久島への憧れが芽生えるずっと前…雑誌で出会ったこの宿

そのページを見た瞬間「あっ!ここに行きたい!」と思った場所だった

もう5年以上前だろうか?「いつかきっと…」と大事にその雑誌をとっておいた私

海辺の古民家の宿…素朴で懐かしい…時間がとまっているかのような空間に心惹かれたのだと思う

でもこの宿と屋久島がつながっているとは驚きだった…

だから迷わずこの宿に泊まることを決めた私…島最後の夜をちょっぴり贅沢しよう!と


「砂浜に横たわり、海辺で湯につかり、水平線に沈みゆく太陽に見とれ、潮風に肌を撫でられながら呑み、

月光で思い、やがてまどろみの海へと導かれる。そんな夢心地の日々を送ろうではないか…」

こんな風に雑誌に書かれていた宿に私はやっと辿りつくことができました…




下の画像は特に気に入ったショットです。クリックすると、大きな画像が見られます

砂浜に続く宿 宿に着いて… 部屋から母屋へ 朝の光が徐々に 宿から遠ざかる足跡

さあ、いよいよ憧れの宿「送陽亭」に到着

先ず、車を置いて母屋で受け付けを済ませます

さてどこから入るんでしょう?

少しうろうろしてしまった私です
母屋の反対に宿坊があります

宿の人の先導で母屋の反対側の坂を車で上りました

今夜の宿はどんな部屋でしょう?

どきどきです…


古民家の変わり屋根が眼下に見え、

その向こうにすぐ海が見えます

素朴で木の香漂う清潔な部屋でした


何もないのに贅沢な部屋だと感じたのは何故?
8畳の畳部屋に2畳ほどの板の間…

そして広いデッキがあります

一人では勿体ないほどの素敵な空間

昼は海を眺め、夕方には夕陽を…

そして夜は満天の星を眺める場所になります
ここは部屋から洗面や厠(トイレとは言いたくないような)へ

続く入り口です

さっぱりした作りなのにしっとり空間が溢れています


なんだかわくわくします♪

きっとこんな気持ち殿方にはわからないんだろうな…
ここが厠…なんて素敵なんでしょ!

お姫様になった気分…なんだかにやにやしてしまいます

落とし紙さえもお洒落に見えませんか?
部屋にはこんな白熱灯の照明ひとつです

なんでもないものなのに風情を感じるのは

ノスタルジーなのかな?

もちろんテレビも電話もありません…


田舎のおじいちゃんちに泊まりに来たみたい
夕餉は母屋の外の海際のデッキで頂きます

民宿ではわいわい皆で食べたのに…

ここでは部屋で別々のテーブル…当然一人


一番早く着いたので私の他誰も居ませんでした

宿の人と喋り一人夜の海を眺めてビールで乾杯!
隣の部屋のデッキ、他の棟の部屋が見えます

ここは10部屋しかなく、それぞれの棟に内風呂

他は宿自慢の海の見える岩風呂と檜風呂

ちなみに…私の部屋は「春」という名でした
この宿での短い時間を惜しむように

部屋のデッキに出て何度も外の景色を眺めました

これは朝日で少しずつ明るくなり始めた頃…

どうわけでしょう?

はじめてきた場所なのに懐かしい思いに満たされます
朝食前に宿の前に広がるいなか浜を散歩します

宿から歩いてきた砂浜の足跡をふりかえってみると

本当に海に続く宿なんだな…とあらためて思います

今日は旅で一番好い天気になりました

台風がすぐそこまで来ているのに…不思議!
台風のせいかな?ここでもほとんど人に会いません

子供みたいにひとりで波と戯れたり、貝殻を探したり…

こんな風に足跡で遊んだり…

花崗岩でできた白砂の海岸は

いつまでも飽きることがありませんでした
本当に海のすぐ際に建つこの宿

海が荒れたら波の下に沈んでしまいそうなロケーションです

今日はそろそろ台風対策で大変だそうです

今日からの予約は全てキャンセルなのだそう…
散歩を楽しんで、夕べ夕餉を楽しんだデッキに戻ってきました

朝の風景は全然イメージが違います

ここでの朝食の時、宿のおかみさんといろいろ話しました

「本当は一人旅は断っているのよ」と聞いてびっくり!

「ひとりでもいいですか?」の問に少し返事が遅かったことに納得
デッキからの海…どことなく台風の影があるかな?

でも青くって綺麗…この海がどんな風に荒れるんだろう
デッキから反対側の風景

口之永良部島の姿が遠くに見えます

今日は島最後の日…夕べは少し寂しくなって

電話を知人の何人かに入れました…私らしくないこと!
ここはなんだか海の家みたいに見えます

でもここは宿専用のデッキです

ウミガメの産卵の頃…
この宿の周りの海にはきっと沢山の人が集まってくるのでしょう

今は誰一人姿がありません


あこがれの宿で過ごす時間を惜しんでのんびり過ごしました

一人旅ということで宿の人がなにかと声をかけてくれます

もっとここに居たいなあ…星空も夕陽も見られなかったもの


女将さんが「私がここの海で拾った貝よ」と

いくつかの貝をくれました

なんでもないことなのにすごく嬉しい♪

デッキの近くにはハンモックがあって

檜の露天風呂に入った後、そこに体を預け

ゆらゆらと体を揺らせてくつろぎました

海を眺めながらのリラックスタイムは最高でした

旅から帰ってこんな風にこの宿のことを思い返しました

ここに私の想いが全て表されている気がします

できることなら…もう一度この宿で何日かを過ごしてみたい

… … …

最後の夜はあこがれの宿…「送陽亭」
ちょっと贅沢をする
古民家を移築したその宿は、目の前がすぐ白砂の海辺
裸電球だけのテレビも電話もない部屋
初めてなのに懐かしい部屋…まるで家に居るかのように、その夜は朝までぐっすり眠ることができた
何故だろう?
ひとりなのに寂しくない
何もない部屋なのに満たされている
風が吹き、波の音が聞こえ、柔らかな光がそっとさしこむその部屋
ずっとここに居たいと思った
昔過ごしたことのあるような気持ちのやすらぐ空間
晴れていたら部屋からは海に沈む見事な夕陽をのぞめただろうし
デッキに出れば満天の星が降りそそいでいたにちがいないその宿

でも…あいにくの曇り空…それでも満足できた宿

(9.22 きまぐれダイヤリー「旅の余韻」より抜粋)


こうして島で過ごす最後の宿を大いに満喫しました (06.9/15-16 金ー土曜日) 

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