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縄文杉を目指して歩く



島の2日目…いよいよあこがれの縄文杉を目指します

今度ばかりはひとりでは不安なのでエコツアーを申し込みました…ガイドをしてくれるひとはブログで知り合った人です

朝5:45分、民宿に迎えが来ます 

緊張して4:00には起き、何度も荷物を点検し、雨の降る中民宿の玄関で立って待っていました

結構な雨が降っていて、暗い中不安で一杯でした 

宿のおかみさんが朝早く起きてお弁当を作ってくれました…申し訳ない気持ちです、有り難う!

ツアーの参加人数は2名…千葉から来たという20代後半の男性でした

小さなツアー会社で1名からでも出発してくれるそうです

タクシーで30分程山に向かって走ってようやく荒川登山口に到着

もうすでに沢山の登山客が居ました


ここでおにぎりをひとつだけの朝食をとり、トイレを済ませ、準備運動をして、7:00にいざ出発!

これから長いトロッコ道を歩いていきます




下の画像は特に気に入ったショットです。クリックすると、大きな画像が見られます

縄文杉 三代杉 ウイルソン株の前で ウイルソン株からの空 翁杉 小杉谷から続くトロッコ道


トロッコ道を歩いていくと、トロッコに出会いました

一日2回ほど
作業をするひとを乗せたトロッコが通ります

そうすると線路の脇に立って見送るんです

昔は沢山の人や物資、木材などを乗せて走ったのかしら?


この歩きにくい道は3km強続きました
登山口から50分くらい歩くと、小杉谷集落が見えてきます

ここは森林開発の前線基地として避けた集落

かつては500名以上の村民が暮らし小・中学校、郵便局まであったそう


泊まった安房の民宿の「湖西」の建物はここの小学校の教室の一部を

ご主人が運んで作られたとか…より感慨を誘います
小杉谷集落後もトロッコ道はまだ3km弱続きます

ここからは整備されたトロッコ道なので随分楽になりました

これまでの道は枕木がまだらに組み込まれ

ずっと下を向いて歩かねばなりませんでした
トロッコ道が終わり、大株歩道入り口に到着
ここからは急な登りの連続…本格的な山登りになります

最初に目にした巨木…「翁杉」

推定樹齢は2000年、樹高は23.7m、幹周りは縄文杉に次いで太いのだとか…

数種の植物が着生し、苔に覆われたその木は

老木らしく威厳が感じられました
歩いているとこんな素敵な木があちこちにみえ

ついカメラを向けます

きりがないよ…と思いつつ、撮らずにはいられない思いに駆られます


あなたは一体ここにどのくらい生きているの?と声をかける私
翁杉から少し歩くと広場のようなところに出ます

そこにあの有名な「ウイルソン株」がありました

巨大な杉の切り株で、中は大きな空洞になっています

私の創作「遠い遠い…森の記憶」の中で

主人公のたっちゃんが夢の中で降り立った場所がここです
株の中に入って上を見上げると美しい森の景色が見えます

アングルによって…こんなハート型に空が抜けて見えるんです

このアングルはガイドさんから教えて頂きました


静寂で神秘的な空間です
10畳もある株の内部には祠もあり、清水も流れています

ここにずっと居たい…そんな気にさせてくれる場所です

この外で早い昼食をとりました

大きなおにぎりとウインナー、ゆで卵のお弁当は
小さな頃母の作ってくれたものと同じです


ガイドさんが熱いコーヒーも淹れてくれました
ウイルソン株での早い昼食は、縄文杉で混み合う時間を
回避してゆっくり観賞するためと、
早くも雨模様だったためです

ここからは雨具を着用して急な登りに挑戦です

あまりの急坂にさすがに「もう駄目…」とへばりそうになりました

「ここはあの野際陽子さんも登ったんだよ」の言葉に
なんとか奮起した私です

その後はなんとか元気を取り戻し、周囲を楽しみながら

期待に胸ふくらませ縄文杉を目指しました

雨にけぶる森は幻想的です

でも…
どうかこれ以上雨がひどくなりませんように…と祈りました
雨は屋久島ではつきもの

雨の山はより一層魅力的になるよ…教えられました

そう…その通り雨に濡れて歩く自分のことより

その森に抱かれている自分を愛おしく感じるようになっていました
これは「夫婦杉」

約10mほどの2本の巨木の枝が繋がっています

実際にこの2本の木は養分や水分を共有しているのだとか…

珍しいですね
もうすぐ縄文杉…という手前で出会うのが「大王杉」

約5mほどの落差のある急斜面に根を這わせたその木は

迫力満点!推定樹齢3000年だとか…

縄文杉が発見される前は屋久島のシンボルだったそう


縄文杉に出会う前にもう十分感動してしまっていた私です
なんて私は小さいのでしょう

体の大きさではなく

スケールの大きさ、歴史の重みのようなものに圧倒されます
どの木もそこを去りがたい感情にとらわれます

心を残しながら先に進んでいった私です
ここはまだ体力の余裕があった頃出会った杉…「三代杉」

約1500年前に倒れた杉から2代目が育ち、

それが江戸時代伐採されて、さらにその切り株から3代目が…


この空洞は1代目が朽ちてできたもの

穴からひょこっと顔を出しました

「森への入り口」ってタイトルどう?とはガイドさんの言葉
この木もまだしっかり生きています

これからもずっとこの森で生きていくんだろうな…
縄文杉に向かう前に休憩

小さな沢が流れ、その水を口に含みます

この山の水は冷たくて美味しくて…

この水を空のペットボトルに詰めてさあもう一踏ん張りだ!
私はこんな深い森にきてしまった…

こんな遠くの島の神秘の森へ
さあいよいよです

縄文杉の前の展望デッキにあがる階段です

ガイドさんから「上に着くまで絶対杉の姿を見ては駄目だよ」と

言われ、どきどきしながらこの階段を上りました
さあいいよ…顔を上げて!と待ちかねたガイドさんの言葉

目の前に
念願の縄文杉の姿です

「ああ…私はあなたに会うためにここまで来ました!」と心の中で叫ぶ


自然と涙が溢れてきました
そしてその涙は止まりませんでした


恥ずかしくて「なんでだろう?」とつぶやき続けた私でした
縄文杉の前は、

丁度私たちツアーの3人の他誰も居なくなっていました

独り占め状態です

ちっちゃな男の子のようにはしゃいでカメラに収まりました
デッキに3人で寝転がり、空を見上げると

縄文杉に見下ろされているようでした

「お前たち何してるんだい?」と声が聞こえてきそうです
飽きずにデッキに寝転がったまま縄文杉を見上げます

目を閉じると風の音しか聞こえません

もう少し、もう少し…こうしていたいと願いました
私の創作作品「遠い〜」の中で

たっちゃんはその木の肌に手を触れ顔をつけます

私はあなたに近づけないけれど

でも十分満足しました…あなたに会いにきた甲斐がありました


たっちゃんにかけたように「ようこそ!」って言ってくれた気がします
いつまでもきりがありません

のんびりしていると山を下りる間に暗くなってしまいます

そろそろお別れです…

最後にその姿をもう一枚残します
一緒に登った仲間です

私は20代の彼らの足でまといになっていたのかも知れません

かれらも縄文杉にお別れをしています
行きのトロッコ道でもう使われてなかったトロッコが
道ばたに朽ちて置かれていました

帰りに撮ろうと思っていたのに

もう暗くなって雨にも打たれていました


なにかこの姿には惹かれるものがあります
フラッシュは使いたくなかったけれど

使ってみました

このトロッコも木と同様植物と共生して

まだ生きているようです

もうすぐ…荒川登山口…終点です

念願の縄文杉登山は終わりました

山登りはちょっと甘く見てたかな?結構きつかったです

でも達成感で一杯でした…そして山を下りたときは寂しさで一杯でした

途中、屋久鹿や屋久猿の姿も見え、また本土では見られないいろいろな植物を見ることができました

島を愛し、ガイドとして誇りを持って仕事に携わっているFさんにも大感謝です

あなたのこだわりの案内で道中素晴らしい体験ができました…ありがとう!

同行したJKさん(?)人生の契機で訪れたとのこと…これからの活躍期待しています…どうかお元気で!

こうして島の2日目は劇的に過ぎていきました (06.9/14 木曜日) 

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